自己破産ができる条件
1 自己破産ができる条件は決まっています
自己破産は免責が許可されることで、基本的に債務の弁済を免れることができますが、債務があれば必ずできるというものではありません。
自己破産をするためには、債務の返済が不能であるといえること、債務が免責の対象となるものであること、免責不許可事由がないこと(裁量免責が認められること)の3つを満たす必要があります。
以下、それぞれについて詳しく説明します。
2 債務の返済が不能であるといえること
破産の制度は、債務者の方の経済的な立ち直りのほか、貸金業者等の債権者の保護も目的としています。
そのため、債務の返済が可能であるにもかかわらず、自己破産手続きを進めて免責を許可するということはできません。
具体的には、ひとつの指標として、債務の総額を3年間で分割して返済できるといえない場合には自己破産をすることができるといわれています。
例えば、債務の総額が360万円である場合、3年間(36か月間)で分割すると、一月当たり10万円の返済となります。
この場合、毎月の手取り収入から生活費を控除した残額である返済原資が10万円を下回っていれば自己破産ができる可能性があると考えられます。
3 債務が免責の対象となるものであること
自己破産の手続きにおいては、すべての債務が免責されるわけではありません。
自己破産をしても免責されない、非免責債権(債務者の方からみた債務)というものがあります。
代表的なものとしては、税金や社会保険料、離婚した場合の養育費が挙げられます。
債務の大半がこれらのものである場合には、自己破産をしても意味がありません。
4 免責不許可事由がないこと
自己破産は、どのような事情があっても免責が許可されるというわけではありません。
借金を作ってしまった理由や、自己破産手続きに臨む態度等によっては、免責が許可されないこともあります。
免責が許可されない事由のことを免責不許可事由といいます。
代表的な免責不許可事由としては、ギャンブルや浪費によって借金を作ってしまったこと、支払い不能であることを隠して借り入れ等をしたこと、財産を隠匿したこと、裁判所に対して虚偽申告をしたり必要な説明をしなかったこと、過去7年以内に自己破産をして免責されていることが挙げられます。
ただし、事情によっては裁判所が免責を許可する免責裁量により免責されることも多いです。